鉄火場の様相。
レビューに書かれた、この一言が私の重い腰を上げることとなりました。
タイというこの国にも、人を熱くさせる何か、死んだ魚の目のお国柄に似つかわしくない、そんな情熱を浴びるべく、いそいそとBTSアソーク駅へ。
扉を開けば、熱風が、との期待を込めて、観音開く、御開帳。
わかる人にしかわからない、そのフェロモン、淫靡の輝きが、鉄火となり、私の目を奪う。
これが世に言う、鉄火場かと飲み物を頼み、ゆっくりと腰を下ろした椅子は、真ん中におわすカウンター式テーブルづき。
さて、ゆっくりと周りを見渡せば、左の壁に一列。
右の壁に一列。
入口の向こう正面に一列と、並ぶ夜鷹。
このすべてと肉欲を持って斬り結ぶことができるという現実。
私の妖刀の切先は鋭さを増した。
夜列車はみな行き尽くし、都会の喧騒に落ち着きを取り戻した頃、即ち、午前零時。
鉄火場は最高潮を迎えた。
夜鷹たちが今日の稼ぎを確立すべく、動き出したのである。
それもそうである。
この女たちは、こうして立っているだけでは、なんの稼ぎにもならないのだ。
世界最古の職業たるべく成立しておる売春婦たちは、やはりいつまでも鮒の水際を思わせるほど、悲しげである。
しかしながら、ここにおいての同情心は禁物。
欲しがるままに、妖刀の赴くがままに。
深夜一時、気付けば閉店となった。
今夜は何も成果はなかったが、色々と感じいる時間を過ごすことができた。
もし、貴兄が何かに思い悩んだとき、遥か海向こうを郷愁の気持ちで望むとき、このテーメーカフェに来てはいかがだろうか。
豈図らんや、心に血の気を取り戻し、体は溌剌とした汗を流すことだろう。
記載:2013/08/26